6 報道 新聞の先は

長澤秀行『メディアの苦悩』

マスもネットも それぞれ悩みと課題

 (光文社新書、2014年5月)

 久しぶりに業界の本を読んだ。ネットを含むメディア全体を俯瞰しているので、ぼくが属する「新聞も」出てくる、といったほうが正確だ。

 本書でいうメディアは、新聞・テレビという既存の「マス」メディアから、インターネットともに急拡大している「ネット」メディアを含んでいる。いろんな分野のリーダーや先駆者へのインタビューが軸になっている。

 ぼくにとって興味深かったのは、ネットメディアはさらに、ヤフーやグーグルのような「プラットフォーム」から、個人が発信元になるブログやフェイスブックやツイッターやウェブマガジンのような「SNS」までも含めていることだ。そしてそれぞれが悩みを抱えているらしい。

 もちろん既存マスメディアは部数や視聴率、広告、影響力が低下していて、それが最大の悩みだ。一方でネットメディアは快進撃を続けている、というのが一般的な見方だろうが、メディアとしての情報の質、プライバシーや人権など問題をたくさん抱えているという。

 読んでいて、それぞれの悩みは、経営的な問題と、メディアとしての社会的な価値と影響力、将来への展望の3つに分かれる気がした。

 新聞はこれからも経営が苦しくなり、影響力も落ちていくのは避けがたいだろう。それを自覚したうえで、紙とデジタルのベストミックスをはかっていく、という方策に落ち着かざるをえないだろう。

 というのも新聞は「ある時点での最新情報を選択し価値づけして印刷した紙を、広告とともに、朝の午前5時には読者の自宅に届ける」というビジネスモデルを早く確立し、百数十年も磨き続けてきた。この成功モデルと体験を基盤にするしか道はない、と大半の幹部は考えているだろう。

 ぼくに見えないのはネットメディアの行方だ。中で働いたことがないから推測だけど、その中身も種類もどんどん拡散して境がなくなっていくのでないか、その流れは止めようがない、とこの本を読んで思った。

 つまりネットメディアには、どこかの断面でビジネスモデルが確立することはなく永遠に変わり続ける、変化し続けることしか生きる道はない―。

 そもそもメディアって何を指すのだろうか、という根源的な問いも残った。ニュースを取材して発信できる組織や仕組みなのか、ニュースや情報を単に伝えるだけのプラットフォームも含むのか。そこに課金とか収益など経営の話がからんで、こちらも永遠と議論が続くのだろう。

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