4 評論 時代を考える

長嶋修『「空き家」が蝕む日本』

持ち家政策 寿命は30年 中古市場の遅れ

 (ポプラ新書、2014年7月)

 最新の国勢調査で日本の空き家率が13.5%と過去最高になった。このニュースが報じられたのは10月ごろだった。本書はそれ以前から「空き家問題」が抱える深刻な問題に真正面から迫っていたことになる。

 空き家率が過去最高になった背景について、当時の新聞記事などは以下を指摘していた。

  • 空き家のまま放置した方が、更地よりも、固定資産税が安くすむ。
  • 中古市場が未整備なため、転売しづらい。
  • 高齢化と少子化に伴う需要減

 しかし本書を読むと、住宅環境や資産形成、街づくりなど社会全体について、もっと根深く深刻な問題が横たわっている。

  • 日本は戦後、「持ち家」という仕組みを経済や住宅政策の柱に置いてきた。新築が政策の優先対象になった。経済波及効果が大きいからだ。
  • 住宅が100年持つなら全戸数の1%ずつ新築していければいいが、日本のように平均30年ならその3.3倍になり、空き家は増える。
  • 中古市場の整備が遅れている。政策のまずさや業界の意識の低さが原因だ。欧米では中古の家の方が新築より高かったりする。

 自分や家族の住む家のことから、社会全体まで、いろいろと考えさせられる。日本人の住宅を選ぶ目が、これまでの新築戸建てや新築マンション一辺倒から、中古住宅市場(ストックマーケット)へとシフトしていくのは間違いないだろう。

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