意表衝く組み合わせ 膨大知識は如何に
(文春新書、2014年11月)
意表を衝く顔合わせである。
読んでみて、あらためて佐藤優氏のすごさを感じた。その知識の多さ、広さ、深さ、すべて型破りである。立花隆氏に続く「知の巨人」だろう。
写真でみる風貌も強いオーラを放っている。眼力、丸顔、短髪。ひと目見たら忘れられない。ひとは見た目が9割とかなんとかいうけれど、それを信用したくなる人である。
一方の池上氏も膨大な知識量をベースにしているのだろうけど、佐藤氏と比べると常識的なジャーナリスト、インテリの域を出ていない気がする。
対談しながら二人の意見が交わされていく。ぼくが一番印象に残ったのは「『イスラム国』で中東大混乱」に出てくる構図だった。ぼくの手書きで整理すると、こんな感じだ。
こうした分類はやはり、池上氏がわかりやすい。佐藤氏はこの続きとして、スンニ派の学派の4分類を展開する。そこまでいくと、ぼくの頭にはほとんど入ってこない。ここでも、佐藤優恐るべし、であった。
■ふたりはいつ充電?
池上氏は朝日新聞のコラム『新聞 斜め読み』掲載問題で一気に男を上げた。その後、テレビ出演は増え、著作も途切れがないようにみえる。佐藤氏の仕事量も、ぼくが知っているのはごく一部だろうから、こちらも想像外だ。
このふたり、いったいいつ充電しているのだろう。ふたりの著作広告やテレビ案内で名前を見るたびに、他人事ながら、心配になってしまう。これだけの知性だ。やっつけ仕事はしてほしくない。