2 小説 物語に浸る

佐伯泰英『居眠り磐音 43~47』

ともに歩む磐音も不惑に 盆暮れの帰省気分 

(双葉文庫、2013年6月~2014年12月)

 このシリーズは、昨年の6月に既刊本をすべて読み終えて一段落した。そのあとは、お盆時期や年末に新刊本が出るとすぐに読んできた。ことしの年末も、新聞広告が出るとすぐ本屋さんへ行って買い、かぶりついた。

 いつもの人たちが登場して、いつものように振る舞う。その心地よさ。まるで、お盆や正月にふるさとへ帰省するみたいだ。

 剣も人格もできすぎた男の磐音も不惑の39歳になった。彼が藩を追われた後、江戸での浪人暮らしから後をともに歩んできたという感覚がある。ともに悩み、ともに田沼親子と戦ってきたのだ、と。

 次の新作48巻では、奈緒こと白鶴が久々に登場すると予告されている。発売は年明けの1月5日とある。まあ、買うしかあるまい。648円。昼ごはん一回分だと思えば、決して高くはないと。

 水戸黄門ドラマの愛好者はこうなのだろうか。ワンピースのファンも同じような心境なのだろうか。

 引き込めばこっちのもの? 第1作の広告がいま

 発行元の双葉社はよほど自信があるのだろう。2002年4月初刊の第1作『陽炎の辻』の広告を朝日新聞の1面に月に数回、出し続けている。いったん引き込んでしまえば、こっちのもの、という感じ。すこし悔しいけれど、ぼくはその通りになっているので、何にもいえない。

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