笑い7割 涙が2割 寅さんのDNA
(山田洋次監督、2018年5月公開)
大好きなシリーズの第3弾も、高位安定の脚本と達者な役者さんたちの演技で支えられていた。山田洋次監督の寅さんの世界がいかんなく引き継がれている。赤池の東宝シネマズで妻と観た。
登場人物たちは本音でしゃべってぶつかりあい、こじれて、ハラハラする。でも最後はおさまるところに塩梅よくおさまってハッピーエンドに。理屈っぽいせりふと神経逆なでの本音やぶちまけが交錯して、飽きさせない。
テーマは古いのに、ところどころに現代の味つけもなされている。「故郷」がふたつ出てくるのも似ている。瀬戸内海と中仙道。日本の昔のDNAがそこに詰め込まれている。
笑い7割、涙1~2割というところか。登場人物の個性と役割がはっきりしていて、映画の意図をつかみやすいのもこれまで通りだった。
山田監督はおそらく、もうすぐ90歳になる。黒沢明のような巨匠というより、国民監督といったほうがぼくにはなじみやすい。とても大きな存在だ。もっともっと撮ってほしい。