1 ゴルフ 白球と戯れる

クラウンズ 宮本の優勝パット

乾いた音と大歓声 含羞と抱擁

 仕事とゴルフのどちらでもおつきあいがあるS氏から、5月7日にメールがきた。仕事の打ち合わせの後に、こんなくだりがついていた。

「それにしても(名古屋ゴルフ倶楽部和合コースで5日に開かれた)中日クラウンズ最終日の宮本勝昌のウイニングパット、しびれました。テレビを見ながら、『団野さんもどこかにいるんだろなあ』と思っておりました。宮本選手のキャディ、和合のハウスキャディさんと思いますが、素敵でした。カップインした時の喜びようが特に印象的で、さすが和合と感じた次第です」

 僕はうれしくなってこんなメールを返した。

【S氏へのぼくの返事メール】

(▲和合18番ホール/2020年4月撮影/クラウンズ最終日はスタンドからこの角度で見ていた)

 ご指摘のクラウンズ最終日は、ご想像通り、すぐわきのギャラリースタンドで見ていました。3組前の今平が18番をボギーにして8アンダーとなり、貞方と宮本が18番セカンドを打ち終わったとき、3人か2人のプレーオフになるだろうと思いました。そこから信じられないシーンがふたつ続きました。

 貞方のボールはバンカーわきのラフで止まっていました。プロでも寄せワンの確率は50-60%と思いました。しかし貞方のアプローチはハーフトップのグリーンオーバー。返しもザックリに近く、ふだん僕がやらかしているようなミスショットで自滅しました。

 中継録画を後で再生してみると、テレビ解説者は「ボールの下は砂地なのに、グリーンの奥行きがあまりないのでふぁっと上げなくてはならず、かなり難しいショットだ」と話していましたね。和合のバンカーわきラフは下が砂地のことが多く「和合の罠」と呼ばれているそうです。

(▲2019年5月6日付け中日スポーツ7面)

 さて宮本のバーディーパット。ぼくはパットラインのほぼ正面のスタンド1階から見ていましたので、ラインはよく見えました。フックしてからスライスして戻りそうな、いわゆるスネークラインと見えました。

 それまでに近いところから打ったプレイヤーはほとんどカップ手前でスライスショートしていました。宮本が打った瞬間、弱いと思いました。あと1mまで来たところで、これはショートだと僕は確信しました。ところが、ご覧になっていた通り、最後の最後のひと転がりでカップへ落ちました。風かなあ、観客の熱気かなあといった感覚です。

 タイガーウッズのかなり前の伝説のカップインを思い出します。オーガスタのパー3で奥のラフから打ったロブショットのボールが大きく右に旋回しながら斜面を下り、最後の最後にNIKEマークを躍らせながらカップインした映像シーンです。

 カップインの乾いた音と、ものすごい歓声、宮本の「これが入るのかよ」と含羞を含んだようなしぐさ。そしてハウスキャディのTさんとの抱擁も印象的でした。

翌朝にラウンド 同じセッティングで

 翌日談があります。(ぼくは和合のメンバーなので)実は翌6日の朝8時20分スタートのメンバーズタイムに、同じコースを、同じセッティングのままラウンドできたのです。ティーも選手と同じブルー。これこそ、ゴルフ狂いのメンバー特権ですね。2週間前の抽選日には朝5時からハウス前で並びましたが、ウェイティングリスト入りがやっと。でも僕はひとり参加だったので、後日、なんとか潜り込めました。

 実際にラウンドしてみると、早朝に水を撒いたためか、グリーンスピードは10.0といつもより2割ほど早かった程度でした。びっくりしたのは硬さ。数字は23.0でしたが、普段の倍に感じました。よく跳ねるし、スピンも効きにくく、少しでも勢いが余分だと、球は丸く削られたグリーンエッジをころころと転がって、深いバンカーへ落ちてしまう。

 バンカーに落ちた球は、そのままころころと砂の上を転がって左足下がりの斜面に止まることが多く、あごを超えるだけの高さにまで上げにくい。16番で僕は、脱出に4打を要しました。予選初日の遼君と同じだね、と励まされましたけれどー。

 6日の僕たちのキャディさんは、同僚でもあるTさんをこう評してました。「古いメンバーさんやわたしどもの間では、イケイケTさんとして有名なんですよ。グリーンが早くなればなるほどプロもアマもどう打とうか迷われるので、『考えたってどうせわかんないんだから、こんな時はまっすぐに強めに行きましょう』とアドバイスするんですって。最後にあれが生きたよねきっと、とキャディ室で話題になってました」

 ところで僕のスコア? それはまたお会いする時まで取っておきましょう。よくぞ聞いてくれました、という感じで、一気に書いてしまいました。不動産担当ではなく、スポーツ紙の契約ライターだったなら、と思う瞬間でもあります。でもきっと、自由時間に好きなようにプレーして好きなように想像し、語る。それに勝る喜びは、素人ゴルファーにはないのでしょうね。

 (2020年11月17日追加) ぼくは2020年6月末に新聞社を退職したのに伴い、和合の会員も退いた。在籍期間はちょうど3年だった。

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