キミは「無所属の時間」を持っているか
(ゴルフダイジェスト新書、2007年)
ぼくの本棚のゴルフ書コーナーから引っ張り出してきた。このところの読み直しシリーズのひとつである。最初は10年少し前、東名古屋カントリーでのクラブライフが生活の一部になり、もっと広角的にゴルフを考えたいと思って買った気がする。
なんといっても著者は名古屋出身の著名な作家である。伊集院静がゴルフエッセイで「作家になりたてのころ、城山さんから、作家は体を動かさないので、気分転嫁も兼ねてゴルフをなさいと勧められたのがゴルフのきっかけ」といった趣旨の回顧をどこかで書いていたのを読んで、覚えていたからでもある。
この本、それほど多くのことを伝えようとしているわけではない。同じことの繰り返しも多い。いわくー
- 直木賞をとり、妻も子もいたのに、ヒロポンと睡眠薬がないと眠れなくなり、医者から勧められてゴルフを始めた。
- 中村寅吉に教えてもらったが、極めてユニークなスイングになり、スコアも100前後だった。
- ジャックニクラウスとリートレビノと一緒にラウンドしている。
- 世界各地の名門コースにもでかけ、プレー体験がある。
心に残った名句が126ページにある。
無所属の時間をお持ちですか?
政治や経済のエリートは無所属の時間を持っていた、という。たとえば―
- 岸信介 いつもひとりでゴルフをプレーしていた。日常から解放された空間の大切さを知っていたのだろう。
- 井上準之助 アメリカへ左遷された時にゴルフを覚えて癒された。
- 小泉純一郎 正月はオーストラリアへ一人で行って読書
- 中曽根康弘 多くの趣味を持っていて、いずれも無所属の時間だった。