1 ゴルフ 白球と戯れる

所属クラブで「グランド」も優勝 …「シニア」に続いて年間2冠に 

プレーオフ5ホール目で決着 1打の怖さ

  (東名古屋CC、11月2日と9日)

 所属する東名古屋カントリークラブで、70歳以上のメンバーによる「グランドシニア選手権」に参加して初優勝できた。11月2日と9日の2日間ストローク競技のすえ、3年連続チャンピオンと同スコアで並び、プレーオフ5ホール目での決着。60歳以上の「シニア選手権」に続いて、まさかの「年間2冠」を達成できた。競技ゴルフの醍醐味と1打の怖さをあらためてかみしめている。


■OB2発でも77 OBゼロでも83

 それにしても波乱万丈の2日間だった。1日目は「77」の好スコアで、出場した18人のうち、首位タイに立てた。ところが2日目は崩れて「83」を打ってしまった。

<1日目のスコア=GDOサイトから>

 1日目はOBを2発も打ち、バンカーにも3回入れた。それなのに5オーバーの77におさまった。2日目はOBを1発も打たず、バンカーにも1回しか入れなかったのに11オーバーの83になった。出入りが激しすぎる。

<2日目のスコア=GDOサイトから>


2日間の6打差 なぜ生じたか

 
 表面的な要因はバーディーの数だった。1日目は、0B後の打ち直しも含めると、3つもとれたのに、2日目はゼロだった。ここで3打の差がある。

 次はパットの数。1日目は28にとどめた。ところが2日目は34だから、バーディー分を引いてもなお3打も多い。3パットを3回もやったことが響いている。

 これをさらに突き詰めると、こんな自己分析になる。

1日目は伸び伸び 2日目は過慎重

 1日目はのびのびとプレーできた。OBを打ってもくじけず、その後のアプローチもパットも強気で打てて、バーディー3つ、1パット8回でカバーすることができた。

 2日目は首位タイで迎え、3位とは5打の差があった。首位タイの選手は年上だけど元チャンピオンの実力者。一対一の勝負になると考えすぎて消極的になった。アプローチで突っ込めず寄せワンがとれない。バーディーチャンスも何度かあったのに、大切にいこうとして打ちきれなかった。

■「入れれば優勝」の上り1.3m

 その象徴が、2日目の最終、18番ホールのパーパットだった。ゆるい上りの1.3m。これを入れれば1打差で優勝という「ウィニングパット」だった。

<▲練習では1.5mを6方向から>

 カップの下から見ても、反対側の上から見ても、軽いスライスに見えた。「ジャストタッチならカップ半分ほど右へ切れる」「30cmオーバーのタッチなら、カップ内の左端」と判断し、「titleist」のマークをそこに向けてボールをプレースした。

 アドレスを取り、ボールを真上から見下ろし、心の中で唱える。

 「狙い カップ左端の内側」
 「振り幅 ボール1個」
 「芯をしっかり」
 「カップを30cmオーバー」

 始動する。ぼくのまじないは「タイト…リスト」。頭でつぶやきながら。

 「タイト」…わずかにプレスフォワードしてから、ヘッドをボール1個分だけ右へ引き、わずかに間をとる。
 「リスト」…ヘッドの芯を「titlist」マークの真下に通し、フォローはできるだけ長く保ちつつ、頭は動かさず、目線だけボールを追う。

弱気から”保険”をかけてしまった


 しかし、ぼくの球は、カップの手前ではほとんど切れなかった。カップの左を抜け、15cmほど先へ行ってからボール1個分ほど右へ切れて止まった。3パットのボギーとなり、優勝を決められなかった。

 このパット、1日目ならカップ左半分を狙い、悩まずに打っただろう。2日目は最初からパットが決まらず、どんどん慎重になっていった。読みよりも右へ切れるかもしれないと弱気になり、”保険”をかけたい気分が残って、無意識に狙いより左へヘッドが出てしまった—。

 と、いまならわかる。あれも「しびれる」というのだろうか。

■3年連続優勝者とプレーオフ

 プレーオフの相手はMさんだった。この日、ぼくと同じ最終組で回って77と好調で、トップとの6打差を一気に詰めた。3つ年上の実力者で、昨年まで3年続けてグランドシニアのチャンピオンを維持している。飛距離もぼくよりひとまわり上だ。

 プレーオフの方式は1番ホールからの「ホール バイ ホール」。そのホールで勝負がつかないと2番、3番へと移っていく。

 4ホールまでは、ふたりともパーを続けた。2-3mのバーディーチャンスを1回ずつ逃した。1.5mくらいの嫌なパーパットはしぶとく1回ずつ決めて決着がつかなかった。

 5番ホール 距離ある「HC 1 」

 5番ホールはPAR4、難易度は「HC 1」である。18ホールでもっとも難しい。距離が長く、フルバックだと434ヤードもある。しかもグリーンまでずっと上りだ。この日のティーも395ヤードあり、パーオンさえ難しい。


 先に打ったMさんのドライバーは素晴らしく250ヤード近く飛んだ。ぼくのドライバーも手応えはよく200ヤードは超えていったように見えた。「セカンドはアイアンで打てるかもしれない」。パーオンの希望を膨らませつつ、2打地点へ向かった。

 2打地点まできてカートからボールを見た時、反対側にヤード杭が見えた。「あれは150ヤード杭だから、エッジまで140ヤード」と思い込み、6番アイアンで150ヤードを打ちにいった。いい当たりだったのにうんと手前で落下した。

 
 「?」は一瞬だった。すぐに距離判断のミスとわかった。ぼくは距離計を使わない。150ヤード杭と思ったのは200ヤード杭だった。ドライバーは思ったほど飛んでいなかった。上り坂なのでランもなかった。何度もプレーしたホールなのに、ティーが前だったので、「次はアイアンで打てるかも」という希望的願望が判断を狂わせた。

 Mさんの第2打はグリーン左わきのラフにいった。ぼくの球はピンまでは50ヤード近くも残っていた。致命的な距離判断ミスだったと悔やみながら、第3打を58度のウェッジで打った。45ヤードのつもりが、距離は足らず転がりも少なく、8mほどの長いパーパットを残してしまった。

 グリーンに近づくと、Mさんはピンまで10mあるかないか。負けを覚悟した。しかしMさんのアプローチはピンを大きくオーバーしてしまった。ぼくより先に打ったパーパットも、1mほど届かなかった。


最後のパットは「8mの上り真っすぐ」
 

 ぼくには8mのパーパットが残った。軽い上りの真っすぐ、にみえる。

 「狙って入る距離ではないが、ショートさえしなければチャンスはある」
 「テークバックはボール5個分」

 そう頭でつぶやき、いつものルーティンでヒットした。白球は曲がらずに坂を上っていき、減速しはじめた直後にピンに軽く当たり、カップに沈んだ。

 Mさんのアプローチが先に1m以内に寄っていれば、ぼくの8mパットはもっと追い込まれた気分で打っただろう。これが「競技ゴルフの勝負のあや」なのかもしれない。

■ことし2度目の優勝杯

  9月の「シニア選手権優勝」で優勝した時は、最終組のひとつ前で回っての逆転だったが、差はやはり1打だった。勝負どころでの1打の怖さを想う。競技ゴルフの醍醐味でもあるのだろう。

 クラブハウス前での記念撮影の後、顔なじみのスタッフから声をかけられた。

 「練習の成果が出ましたね」
 「ほぼ1日おき、練習だけにおいでになるのをみな見てましたよ」

 ホームページに出すコメントを求められ、次のメモをスタッフにお渡した。

 2日目はホールごとに目まぐるしく首位が入れ変わり、ゴルフの醍醐味と怖さを味わいました。
 1mの上りのパットにしびれたのは久しぶりのことです。
 すべて良きライバルに恵まれてこそ得られる充実感です。
 これからも71歳の老ゴルファーとおつきあいください。

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