新鮮な映像で都会の生きづらさ描くも…
(石井裕也監督、2017年公開)
2018年2月に発表されたキネマ旬報の邦画ベストワンである。その評価と池松壮亮に魅かれてDVDを借り、自宅で観た。
詩集がベースになっていて、主演女優が原田美枝子の娘だというのは、後になってネットで知った。
観始めた当初は、科白や演技、映像、街の実写がみな新鮮で、へえーっ、結構やるじゃんという手応えがあった。特に建設現場での労働者の働かされ方がとても自然でリアリティがあった。東京五輪の前という時代性と若者の生きづらさ、都会での非正規労働者やフィリピンからの出稼ぎ者の現実を見事に切り取っている気がした。
しかし女性の主人公は看護師で、夜はバーに勤めているのだが、そういう生き方の位置づけが、ぼくが男だからか、年代のせいなのか、ぴんとこなかった。「死」がテーマだという設定もぼくにはあまり伝わってこなかった。
この作品がなぜキネ旬の2017年ベストワンに選ばれたのだろう。この年のほかの候補を見ていないので、その疑問を論じられるような知識ももちろんないのだけれどー。