2 小説 物語に浸る

佐伯泰英『居眠り磐音 1-3 』

明るくテンポ早くスケール大 先も長いぞ

 (双葉文庫、2002年4月)

 ここ数年、このシリーズの書籍広告を新聞で時々見かけて気になっていた。「累計1000万部突破」などと。少し前には山本耕史が磐音を演じたNHKドラマもとてもよかった。そこで原作の最初の3冊を読んだ。

 とてもとても面白く読めた。同時にへえーっと驚いたのは、設定や雰囲気が、藤沢周平作品でもぼくがいちばん気に入っている『用心棒日月抄』ととてもよく似ていることだ。

  • 主人公はやたらと剣が強く、絶対に負けない。
  • 本人には罪もない殺傷事件によって脱藩せざるを得なかった
  • 江戸の裏店の借家で浪人暮らし
  • 稼業は剣を生かして用心棒
  • 魅力的な女性の存在あり、藩にも江戸にも

 しかし違う部分も、もちろん、いっぱいある。

  • 藩は青江又三郎が北国の小藩、坂崎磐音が大分の豊後関前
  • 剣による勝負シーンは藤沢がしっとり、佐伯がリズム
  • お相手の女性は青江が忍者、磐音が深川育ちの奥女中

 なんてこと、まあどうでもいいかもしれない。磐音は磐音で全体に明るくてテンポが速い。スケールも大きい。それにとてもとてもロングランだ。すでに40巻も出ている。お楽しみは、まだまだあるぞ。

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