親指切断 2度のがん 凄まじい格闘の後に
(学習研究社、2002年)
月刊パーゴルフに連載した記事を加筆修正したらしい。あとがきが面白い。人選と取材説得にいかに苦労したかが書かれている。芥川賞作家から取材を受け、ゴルファーなら大体は知ってる雑誌に大きく掲載されるという事態は、確かに、仮に僕がその立場になってもお断りするだろうと思う。
読んでみるとやはり、いろいろなストーリーがあるものだ。豊かな家に生まれ、大学ゴルフ部を経て、親に勧められて名門クラブに入りクラチャンというのは一人しかない。後の人たちは大なり小なり、苦労してたどり着いている。
中でも、幼少時に家の手伝いをしていて親指と人さし指を機械で切断された男性の話はすさまじい。前立腺がんからよみがえった後に、今度は腎臓を切除して再びゴルフを始めた男の物語も読ませる。
マッチプレー 勝負は残り3ホールから
もうひとつ興味深いのは、マッチプレーの残り3ホールにおいで繰り広げられる心理戦だ。これで勝てるかも、という心理が隙になる。ストロークプレーなら実力は上でも、マッチプレーは別物だろう。
本の中には写真はない。しかし、取材したチャンピオンたちを描いたイラストがすばらしい。それぞれのゴルフ人生を切り取っていて、とてもいい感じだ。
さて僕にはまだ、クラチャンにたどり着けるチャンスと実力はあるだろうか。最大の課題は継続する力だろうと、この本に出てくるチャンピオンたちの話から学んだ。