スーザンとホーク ほかに何もいらない
(ハヤカワ文庫、初刊は2009年6月)
スペンサーのシリーズは久しぶりだ。この4、5年は読んでいなかった。
ほとんどの作品を50代前半までに読んでしまい、本棚には30冊以上が並んでいる。もういいやと思っていたら、筆者が2010年に亡くなっていたことを知って続編を読みたくなった。この作品、シリーズの31作目となる。
相変わらずのスペンサーものだった。私立探偵としての自尊心と曲げない信念、ウイットに富んだ会話、そして溺愛する恋人スーザンの存在…。探偵ものとしてはハードボイルドだけれど、女性とのからみだけメロドラマに仕立てたとでもいえようか。
でもぼくが読み続けてきた理由も実は、そこにある。スーザンへの愛情やホークへの信頼といったポジティブな人間関係が大きい。こんなパートナーと友人を持てればほかに人生は何もいらない、という気になる。
30冊以上のシリーズを読んだのはほかに、佐伯泰英の『居眠り磐音』全51巻だけだ。磐音にはおこんという魅力的な江戸娘がいて、ふたりの深い絆と彼を取り巻く友人や弟子たちとの信頼関係が核にある。似てるなあ。