ネット依存への警告 識字文化の危機
(新潮社、2005年4月)
メーンタイトルもそのものずばりだが、副題も真正面から「ケータイ・ネット依存症への告別」ときた。この筆者らしい生真面目な一冊。そんなに真面目に考えて大丈夫ですかと心配したくなるほどの真面目さだ。
とはいいつつもやはり、ケータイ・ネットが社会にもたらす「負の側面」はぼくも怖い。文中に「識字文化」という言葉が出てきた。この識字文化こそ新聞を支えている背骨だが、ケータイ・ネットに代表されるITの普及によって根底から揺らぎつつあるようにみえる。
識字文化が壊れ、次に新聞が壊れ、さして日本人が壊れる?
柳田氏は元NHKの記者で、たくさんのノンフィクションを書いてこられた。ぼくが記者になったころから、主に科学や医療の分野で精力的に仕事されてきて、師匠のような気分で追いかけてきた。そんな大先輩の警告がネットに対して出ている。社会もメディアも大きな変わり目にいる。