リリカルでシャープでエレガントでポップ
( 仙台市、設計・伊藤豊雄、2001年1月開館 )
ニューヨークへ1年前に個人旅行した際、美術館MoMAで、このメディアテークの模型が設計した伊東豊雄の「作品」として展示してあった。コンセプチュアルで透明感のあるフォルムに衝撃を受けた。仙台に行って本物を観たいと願っていた。
するとちょうどこの秋、友好新聞社の運動部長会が仙台市の河北新報社であった。会議の翌日の祝日、ひとりでメディアテークを観にいって、MOMA以来の希望を果たすことができた。
MOMAの模型や、これまで何度も雑誌で見た時の印象を裏切られることはなかった。「かっこいいねえ。リリカルでシャープでエレガントでポップ」。家族に送った建物絵葉書に、ぼくの印象をこう書いた。
建築とその空間をじっくりと味わうという意味では、金沢で21世紀美術館を見た時以来の充実感だった。建築家の狙いや設計の手触り、できあがった空間の質をぼくなりに感じ取ることができた。
その一方で、ほんの少し肩透かし感もあった。実際の使い勝手はどうなのだろうかと想像してしまう。チューブとスラブだけの空間構成は極めて魅力的だが、現地で観た使われ方には雑な感じがぬぐえなかった。21世紀美術館ほど中の機能がまだ建物に溶け込んではいないのでないだろうか。