戦争の残酷さ 母の強さ 覚悟迫る直球
(山田洋次監督、2008年2月公開)
テーマは重い。太平洋戦争のさなかの残酷さと母の強さ、美しさ。あのころの日本には日常的に存在した悲劇であり、母親だったかもしれない。
かくいうぼくも当時のことは後知恵と想像でしかないが、そんな気がするストレートな映画であった。戦後生まれに何がわかるかと父親世代に言われたらそれまでであるが…。
周囲が国粋主義に染まっていき、それに逆らうのがだんだんと難しくなっていく過程に思いをはせた。
後世の歴史家が「新しい戦争への道は、2000年にはすでに始まっていた」と振り返るかもしれない現代である。とくに9.11の後は世界が変わってしまった。
いまメディアのど真ん中にいるぼくにとっても、ひるんではいけない時が遅かれ早かれやってくるだろうという覚悟をせまる映画だった。