(橋本一監督、公開2011年9月、DVD)
お洒落なセンスにあふれた、娯楽作品。楽しめた。2012年の9月に原作の『探偵はバーにいる』(東直己、初刊1992年5月)を読んでから1年半。やっと映画版をDVDで観ることができた。
もっともこの映画の筋は原作第2弾(これは読んでいない)をもとにしており、タイトルだけ第1弾を使い「バー」を「BAR」に変えている。ぼくは勘違いで先に映画の「2」を観てしまい、中身の薄さと荒っぽさにがっかりした記憶がある。
しかしこの「1」は、早い展開、大泉演じる主人公のコミカルさと骨っぽさ、小雪の純情…。演技も画面の作り込みも脚本も手を抜いていない。これまでにない作品を撮ろうという挑戦意識を感じ取れた。
ラストの小雪が依頼人という展開も、おおやっぱりなという気持ちとそれでよかったという雰囲気がうまくおさまっている。
雪のシーンが多く、ススキノの繁華街の雰囲気も見事に切り取っている。札幌の人たちは多くのシーンで「ああ、あそこだ」と実際の通りや建物を思い浮かべることができて、誇りに思えたことだろう。