残虐と悲しみ リアリズムと調べに込めて
(ロマン・ポランスキー監督、日本公開は2003年2月)
面白いとか楽しめたというのとはかなり違う。映画はひたすらリアリズムを追い求めていく。ナチの残虐とユダヤ人の悲しみを訴えるすべはほかにはないかのごとくに。大人の映画。考え、充実した2時間だった。
1年前に観た「船の上のピアニスト」の原題が「The Legend of 1900」だった。今回の原題は「The Pianist」だ。
どちらも音楽と、手が奏でる調べが山場やクライマックスに大きな力をもたらしている。音楽と映画はもともと相性がいいけれど、今回の作品は特にその度合いが大きい。
これまでに観た反戦ものではピカイチだ。『シンドラーのリスト』より訴える力が強いと思う。
長女が留学で1年を過ごした街、ポーランドでの悲劇かと思うと、ことさら思いは深かった。