圧倒的存在感と愛嬌 手で触れて実感
(名古屋市・名古屋城)
おおきな期待はなかったのに、金シャチと実際に目の前で対面してみると、妙に納得できる面白さがある。この手で触れることができる位置まで近づくと、愛嬌がある。
そうぼくが感じるのはなぜなのだろう。あの全体の形なのか、目の玉の造形なのか、これまでの歴史的な扱いからくるものなのか―。
愛知万博の開会式に彼らが”招待”された時も、「主役」としてステージの左右に鎮座していた。司会者が、豊田章一郎氏に続いて二匹(2尾)を紹介した時、会場から、しばらく置いて、パチパチと拍手が起きた。あのときの「ちょっと待てよ」と一拍おいた観衆や、ぼくも感じたおかしさは何なのだろう。
彼らは名古屋の質実さの象徴というべきかもしれない。洗練しようがない存在だけど、やたら目立つし、しかも表も裏もないストレートの魅力といおうか。そうした存在であるからこそ、かえって安心できる―。文化とはそういうものかもしれない。