「さやだけ屋はなぜベストセラーか?」が謎
(光文社、初刊は2005年)
ことし後半のベストセラー。日常のささいな疑問点をきっかけにして会計学をわかりやすく書くという狙いらしいし、さらっと読めた。けれど、なぜこの本が何10万部も売れているのかは理解に苦しんでいる。
キャッチ―でノスタルジックなタイトル「さおだけ屋」の謎解きのカギは、それが本業ではなく、実体は金物屋だということにあると明かされる。さおだけのみを売っているのではなく、ほかの商品も扱うことで売り上げを増やし、ほかの用事で街を走る時に営業車から「さおだけ―」の音声を沿道へ流すことで宣伝費や経費率を下げているのだとも。
ほかの例も出てくるけれど、総じて内容にさほど深みはなく表面的で、商売や経済の本質に迫っているようには思えない。
それなのになぜベストセラーなのだろう。世の中がカネ万能になり、安易にもうけに走ろうとしていることの証左だろうか。
ぼくは、とっつきやすいが意外性のあるタイトルと、売れているというトレンド感からこの本を手にした。ページをくると、意外と早く読み進むことができて、最後には会計学は簡単だと思えた。売れてる理由はこの辺なのかもしれない。