北欧の街に等身大の日本 女性だけで深い味
(荻上直子監督、公開は2006年3月、DVD)
予想と期待をはるかに上回る共感を抱いた。安定したアングルとカメラワーク。媚びず、演出しすぎず、等身大のセリフと展開である。
群ゆうこの原作が、読んでいないけれど、しっかりしているのだろう。監督や主役がみな女性。舞台もフィンランドのヘルシンキというしぶい街だ。
主演の小林聡美が見事にはまり役で、ほとんど地で演じているのではないか。片桐はいり、もたいまさこも、日本の40代から50代の女性の地をうまく出していて、映画を引き締めている。
中に出てくる、おにぎりと和食がとてつもなくおいしく見える。こんな映画もありなんだとさえ思えるほど素朴で地味な展開なのに、味わいは実に深い。
元日の夜にDVDで観た。前々日に観ていた妻は「中年女性ならみんな好きになると思うわ。男の人はどうかなあ」と話していた。その感覚もわかる気がした。