輪郭くっきり 安心して笑えて泣けた
(山崎貴監督、2007年11月公開)
期待以上に笑えて、そんなはずはと思うほど泣けた。1作目を観ているので、人物の輪郭がしっかりしているし、状況もわかっている。
ぼくが育った時代でもあるし、安心して、物語に身をゆだねることができた。子役たちもみなうまい。
唯一、違和感があったのは小雪だった。場末のダンサーになって「文学」の出世を待つのだが、背の高さや顔つき、長い手足が、どうもぼくの時代感にあわない。役柄であるけなげさもいまひとつ。「文学」の新作を読んで3丁目に戻ってくる大事なシーンが、ぼくにはちょっと白けて見えてしまった。
さえないが純情な文学青年を吉岡が好演しているだけに、惜しい、とぼくは思った。でもそう感じるのはぼくだけかもしれない。そのミスマッチこそがこのキャスティングの魅力で、最後の場面もリアルだと感じる人もいるだろう。