牧歌的な田舎 ていねいに生き生きと
(山下敦弘監督、公開2007年7月、DVD)
恥ずかしながら名前も聞いたこともなかった。年末恒例のキネ旬ランキングで2007年の日本映画の2位になったと知って、観てみた。
正解であった。画面に作り手たちのまじめな思いが見じみ出ていて、観るものをほっとさせてくれる作品だ。
映画の舞台の村は、ぼくが生まれ育った舞鶴市の実家の村を思い起こさせてくれた。撮影はもっと山奥だったかもしれない。日本の田舎が実に牧歌的に、かつ、ていねいに描かれていて、うれしくなった。
こともたちも生き生きと描かれていて素晴らしい。主人公のカップル二人よりも、小1の「さっちゃん」や小6の「こうたろう」が実に自然に演じていて驚く。あの是枝監督の『だれも知らない』のように、撮影に何年もかけて、こども俳優たちに慣れさせてから撮ったのだろうか。
『ALWAYS 3丁目の夕日』もそうだった。団塊の世代が郷愁を感じるような映画が増えている。この映画、設定は現代だが、醸し出す感性は、昭和30年代のように感じる。