ゲリラ戦再現 国連演説 白黒・カラー交互に
(S・ソバーダーク監督、公開2009年1月)
面白い構成だった。1964年のNYでのゲバラの国連演説と、その前の1956年から59年にかけてのゲリラ戦の様子が交互に出てくる。
ゲリラ戦はカラー、NY訪問はモノクロ。どちらが古いシーンか倒錯するような構成だが、ゲリラ戦にリアリティを、NY訪問に回想色をつける効果はあった。
ベニチオ・デル・トロが演じるゲバラは、ぼくがイメージしてきたゲバラよりも常識的で良心的だった。実際のゲバラは見た目の奥に、凄みやカリスマ性を備えていたように想像するが、実際はどうだったのだろう。
部隊を抜けて住民をレイプした元仲間を処刑するシーンはむごたらしく、受け入れがたかった。あの『実録・連合赤軍』を想起させるグロテスクさだった。随所に出てくるゲバラのヒューマニズムと正義感がミスマッチに思えた。回想シーンでも言っていた「狂気」とみていいのだろうか。
続編の『39歳 別れの手紙』も観るかどうか迷う。