5 映画 銀幕に酔う

邦画『おくりびと』

正統派本木の生真面目さ インド旅行の果実

 (滝田洋二郎監督、公開2008年9月)

 期待通りの面白さと深さがあった。

 納棺師という耳慣れない職業、意表を突く設定だ。それにもかかわらず、口コミで評判が広がり、中高年の客を呼んだというのが、なんだかうれしい。異例のロングランとなり、今回のアカデミー賞外国語映画賞も納得したというのも納得できる。

 本木雅弘の生来の生真面目さと正統さが生きている。15年前のインド旅行で見つめた「生と死」の問題をここに結実させた。人間としての力か。

 脇役の吉行和子、笹野高史、広末涼子、みんなうまい。特に山崎努は、この手のクセとウラのありそうな役をやらせるとピカイチである。授賞式には出ず、日本で地味なコメントだけ出したところもしぶい。

 そして何よりあっぱれなのは滝田監督だろう。原作はもっと哲学、宗教色の強い内容だったらしい。毎日新聞の今日の夕刊に、富山在住の原作者インタビューが出ている。映画ではエンタメ色とハッピーエンド色を強め、幅広い客を劇場に誘い込んだ。

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