5 映画 銀幕に酔う

邦画『テルマエロマエⅡ』

2度目の”訪日” ローマ風のアレンジは?

 (武内英樹監督、公開2014年4月、DVD)

 第1作ほどの面白さは感じなかった。プロットもストーリーも俳優も第1作の延長にあり、大きな展開や変化はない。

(▲原作の1と2)

 主役の阿部寛は熱演している。ローマの街の再現もよくできている。あれだけのエキストラを集めた撮影は大変だったろう。でも感動はそこまでだ。

 それよりも、第1作では奇抜さに仰天させられた構図が、2作目では違和感が残った。ローマ時代の浴場設計技師がタイムスリップで現代日本にきて風呂文化のすばらしさを体感し、ローマ時代に持ちかえって成功する―。この構図の繰り返しが、「美しいニッポンをもっと知ろう」「日本を取り戻そう」的な政治・社会の風潮とリンクしている気がしてならない。

 技師ルシウスがローマに戻ったのなら、2度目なのだし、ローマの当時の技術や伝統や美意識を取り込んだアレンジがあってもよかったのに…。お風呂であれ何であれ、その時代ならではの価値や考え方があるはずだ。それをつないで高めあっていくのが文化というものだろう。

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