5 映画 銀幕に酔う

米映画『アルゴ』

ハリウッド協力 付録に証言映像 米国らしい

 (ベン・アフレック監督、2012年10月、DVD)

 1979年に起きた在イラン米大使館での人質事件が舞台になっている。ぼくが富山に赴任した年に起きた大事件で、イランの学生ら反米デモ隊が大使館に乱入し、大使館の52人が人質になった。

 このとき6人の外交官が乱入前に密かに逃げ出し、近くのカナダ大使館に逃げ込んで囲われていた。これをイラン政府に知られてカナダ大使館を巻き込む騒動になる前に、CIAが極秘作戦でこの6人を助け出す物語だ。

 救出劇は外交官機密文書として極秘扱いだったが、1997年に公開されて大きなニュースになったのはぼくも覚えている。

 このときにCIAが採用した作戦の名前が「アルゴ」だった。映画ロケのためにハリウッドの民間人6人がイランに入国したことにし、ロケを終えたら外交官はロケ班のメンバーとして脱出する…。

 意表をつく作戦だ。本当に実行して、成功したんかいな、と驚く。「アルゴ」はイラン側にロケ申請した際の予定映画のタイトルでもある。ハリウッドを持ち出すあたりが、実にアメリカ的である。

 作戦を実行するCIAの主人公はベン・アフレック監督みずからが演じた。脱出劇のハラハラ、ドキドキをクールな演技で際立たせている。

 中止命令を振り切って空港へ向かうシーン、ハリウッドの助っ人たちの心意気など、よくできている。こちらもアメリカ色満載だ。

 DVDで観たので、事件当時の関係者証言が付録についていた。顔出しであっけらかんとしゃべっている。元記者のぼくはこちらもまた面白かった。これもまた、実にアメリカ的だ。

 この映画がアカデミー賞作品賞に決まると、イランが激怒し自国で別バージョンを作ると発表したという続報も面白い。こちらは、実にイラン的だ。

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