7 催事 肌感で楽しむ

伊勢神宮遷宮「お白石持ち」

ハンカチに白石ふたつ 本殿の足元にそっと

 (伊勢神宮外宮)

 ことしは20年に1度、伊勢神宮の第62回式年遷宮の年だ。その関連行事のひとつに「お白石持ち」というのがある。地元の人たちが真新しい白石を手にお参りし、新しい神殿の前に置いていく、というものらしい。

<公式写真集『遷宮』(宮崎正明撮影)から=2020年10月追加>

 外宮の目の前に実家がある大学同級生に誘われ、関係者のひとりとして参加させていただいた。大学のほかの同窓生や、彼とぼくが所属する異業種交流会のメンバーも一緒だった。

 まずは、大八車を引っ張る綱とそれを引く人たちの列に沿って、友人の実家が所属する町内の人たちと一緒に、ぞろぞろと歩いた。大八車に積んだ桶には白石が山積みになっている。2時間ほど歩いて外宮大鳥居前に到着した。

<公式写真集『遷宮』(宮崎正明撮影)から=2020年10月追加>

 そこで白いハンカチの上に白石2個ずつを頂いて、今度は本殿に向けてまたぞろぞろと歩く。白石はゴルフボールより少し大きいぐらいだった。

 そしていよいよ本殿の中へ。内宮外宮を通じ、本殿の中に入るのは初めての体験だ。石が敷き詰められたエリアまで来ると、持ってきた白石2個を、足元のほかの石の上にそっと置いた。

 そこから見上げた神明造りの素木の本殿は神々しく、美しい。みんなが持ってきた石で周囲が少しずつ敷き詰められていく。だれも近づけない神々しさ、そして素朴な庶民の参加。このふたつの自然な融合がなんとも心地よかった。

■ 神明造りの本殿 意外なところにスリット

 白石を置いた後、しばらく本殿をなめるように眺めていると、建築を大学時代に勉強したものとして意外なことに気がついた。棟持柱の上や、ほかの柱と桁・梁の間に水平スリットが入っている。

(▲大学時代の教科書、藤岡通夫著『建築史』から。赤線は当時のまま)

 そういえば事前に訪ねたせんぐう館に本殿の4分の1のカットモデルがあった。同行のひとりが、本殿の床から上の垂直力は壁で持たせている、棟持柱も本質はデザインだと話していたのを思い出した。

 本当のところは確信がないが、20年に1度といい、本殿の力学的構造といい、遷宮の本質はハードにはなく、ソフトでありシステムでありデザインなのではないか。屋根の上の鰹木も千木も洗練された象徴そのものだ。

 せんぐう館での展示などによれば、遷宮は600年代に始まり、室町や戦国時代には100年以上も間が空いたことがあるそうだ。第二次大戦の間も1回か2回、飛んでいる。同級生やぼくが生まれた翌年の1953年に戦後第1回の遷宮があり、その後は20年に1度は守られているという。

■22万人参加 次は81歳

 新聞によると、今回のお白石持ちにはあわせて22万人が参加したそうだ。とても貴重な体験だった。次の2033年には81歳になっている。あれが最初で最後なのだろうなあ。

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