7 催事 肌感で楽しむ

狂言「楢山節考」「呼声」

これはすごい さすがの様式美と表現力 

 (名古屋能楽堂)

 生の舞台でまともに狂言を観たのはいつ以来だろうか。もしかすると、いやきっと、はじめてに違いない。

(▲パンフレット)

 驚いた。これは面白い。演者は野村万作、野村萬斎の親子だ。人気、実力とも抜きんでた存在のふたりが演じるのだからぜいたくな舞台である。ぼくが知っている歌舞伎よりも様式美が確立しているようにも見えた。

 素人目にも狂言らしいと感じたのは、最初の「呼声」だった。幕間のコントである。能と能との間の息抜きといった位置づけだったのだろう。

 だが「楢山節考」は違っていた。こちらには笑いやシャレやユーモアはみじんもない。姥捨てというテーマが深刻で暗く、初上演時に賛否が渦巻いたという解説もうなずける。

 萬斎の表現力もさすがだった。単なる人気者ではない。

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