5 映画 銀幕に酔う

邦画『清州会議』

秀吉の頭脳と度胸 大泉が持ち味で好演

 (三谷幸喜監督、公開2013年11月、MOVIX三好)

 信長が本能寺で光秀に殺された後の評定が舞台。会議という名の戦争にも勝利する秀吉の頭の切れ、度胸、実行力、カリスマ性がテーマになっている。対する柴田勝家の武骨さがあわれと笑いを誘うという筋立てだ。

 この会議での秀吉をはじめとする武将たちの立ち回りや議論を見ていると、当時は武士たちにまだあれほど自由な精神があったのだと思った。江戸時代を舞台にした時代劇や歴史小説は、武士の世界の硬直してしまった精神や制度と、そこから生じる悲喜劇を描いていることが多いからだ。

 まあ、そりゃ当然といえば当然か。秀吉はもともと百姓の出身だし、なんといっても戦国時代である。武士精神の硬直は200年も300年も後のことだ。

 秀吉の大泉洋は、自身の軽妙な持ち味をうまく使っている。柴田を演じる役所はもっと上手で、彼の2枚目半的なところを巧みに出している。

 ほかにも豪華なキャストが三谷ワールドを彩っている。多くの演技派が、三谷監督に声をかけてもらうことを誇りに感じている様子が伝わる。

 劇中の台詞が、武士言葉と名古屋弁と現代口語がないまぜになっていて笑えた。山田洋次監督に続く庶民派映画監督の油の乗った喜劇である。

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