男の純情の悲劇 40年差うめる原作完成度
(旧=ジャック・クレイトン監督、日本公開1974年 / 新=バズ・ラーマン監督、日本公開2013年6月)
なぜいま新旧のギャツビーか。NHKBSでディカプリオ主演の新ギャツビーをたまたま観たのがきっかけだった。大学生時代にレッドフォード主演の作品を観たのを思い出して懐かしくなり、比較しようとDVDで旧作も観た。
フィッツジェラルドの原作を読んでいないので確かなことはいえないけれど、1920年代のアメリカのお金持ちたちの世界と、ひとりの気骨ある男の純情を描いている点で、筋立てや脚色に大きな違いはない。
画面の華やかさではもちろん新作の方が上だ。特に前半のハイライトである豪邸でのパーティー部分は圧巻である。物語の展開も旧作よりスピーディーに感じた。原作と旧作を十二分に研究した上で作られただろう。そのぶん旧作にはオーソドックスで落ち着いた感じがある。
1970年代のレッドフォードと、2010年代のディカプリオ。ふたりの俳優の個性と、40年という時間。その違いは十分感じた。その一方で、男の純情を描いた悲劇という軸はどちらも変わらないと思った。
それはおそらく、原作の完成度が極めて高く、両監督ともフィツジェラルドに敬意を捧げながら制作したということの証左でもあるだろう。