6 報道 新聞の先は

畑尾一知『新聞社崩壊』

ニュース中心か プラットフォーム流すか

(新潮新書、2018年2月)

 早期胃がんの内視鏡治療を受けるため愛知県がんセンターに入院した際に、病室で最初に読み終えた本である。筆者は朝日新聞社販売局のふたつの部で部長をつとめて60歳で退社した後、この本を執筆している。

 思っていた以上に実務的な内容だった。ぼくが特に知りたかったのは、将来の新聞像と処方箋だった。大半は「はじめに」に書いてあった。忘備録を兼ねて、将来に向けての筆者の提案をぼくなりにまとめると―。

■新聞読者はどんどん減り続けているが、「それでも」、新聞を読んでいる人はまだ日本に何千万人もいる。そこが出発点だ。

 ①デジタル全盛期に新聞が存続するには「安定的な情報発信の起点の地位」を維持するべきだ
 ②それにはプラットフォームへ積極的にニュースを提供して「情報発信元としての影響力を維持するべきだ
 ③購読料を安くする
 ④新聞社はまったく異なる姿に変身すべきだ

■再生した2030年代の新聞の姿とは

 ①今より部数はずっと少ないが、安定した高読者層を維持
 ②価格は今よりも安くし、ページ数も減らし、サイズはタブロイドに
 ③政治、経済、社会を中心にストレートニュースで埋める
 ④紙の新聞の購読者が新聞経営を支え、それを基盤にしてプラットフォームのニュースサイトに新聞社から配信する
 ⑤発行部数は少なくても、ニュースサイトへの配信によって、社会での存在感(プレゼンス)はゆるぎがない

■具体策1 新聞事業をファンドに売却して新会社に

■具体策2 値下げ/夕刊廃止/紙面のコンパクト化(最大20p)/顧客の集中管理/流通の合理化/外注化/人件費抑制/販売店の多角経営

 危機的な状況認識は同じだが、新聞社の将来のあるべき姿やそのための処方箋としてぼくが考えていることとはいくつか違う。

 もっとも違うのは、2030年代の姿として「政治・経済・社会のストレートニュース中心で」としているところだ。ぼくは、ストレートニュースの背景やその意味を深く考えられるように「解説記事が売り」になるとイメージしてきた。ただ過去の体験からすると、的確な解説を書くにはストレートニュースを追っていないとできない。ストレートニュースだけで経営がぎりぎり成り立てば、解説を付加価値にするという戦略は可能になるのだが。

 もうひとつは、プラットフォームへの生ニュース提供の位置づけだろう。ぼくの考えは筆者に近く、いまの時点から積極的に配信することで、ニュース取材で絶対的な信頼感を獲得しておくべきだと考えてきた。しかしそれに伴う収入確保に確信を持てない状況が続いていて、スタンスは新聞社によって異なる。

 ぼくのいまの担当は不動産活用なので、上のような戦略の「下支え役」が使命だ。それでもほとんどの新聞人がそうであるように、新聞の将来姿について明確なイメージと目標がほしいと強く思っている。少なくてもぼくはまだ描けていない。ぼくが現役中に、手ごたえある将来像を業界や社内で共有できるのだろうか。

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