1 ゴルフ 白球と戯れる

劇画『風の大地 1~13』

ゴルフ漫画の大作 入院先で再び耽溺

(坂田信弘原作、かざま鋭二作画、小学館、1990年~)

 すべて読み直しである。愛知県がんセンターに入院中、ライブラリーの貸し出しコーナーで見つけて飛びついた。一度は読んだストーリーなのに、病院のベッドでむしゃぶりつくように、もういちど楽しんだ。

 あらためて思ったのは、ひとの人生のロングストーリーは結局、少年少女や青春時代がいちばん面白い、ということだ。居眠り磐音シリーズでも、日経の『私の履歴書』シリーズでも、NHKの大河ドラマでもそうだ。このゴルフ漫画の大作も同じだった。

 鹿沼カントリークラブに研修生として入った主人公、沖田圭介が、プロテストに合格し、アジアンツアーで総合2位に食い込み、全英オープン出場を決めるまでで13巻が終わった。実際はかなり先まで続編が発売されている。

 のちの妻となる女性との出会いや、師匠・田賀神の死、フィリピンの若いキャディーとの交流、生意気なライバル長谷川との友情など、その後の沖田のゴルフ物語を彩る要素はほとんど出ている。ばかがつきそうな正直さや生真面目さ、一本気はいうまでもない。

 それにしても原作の坂田信弘というひと、すごい。京大を中退してプロゴルファーを目指すも、ゴルフダイジェスト誌のコラムで読んだ記憶によれば、パターに自信をなくしてプロを断念。それでもゴルフは捨てず、執筆と指導に転進し、ゴルフの奥深さやプロの世界の厳しさを言葉で表現している。

 画のかざま鋭司氏も冊を重ねるごとに絵がたくみになり、ストーリーとかちっとはまるようになっていくこともよくわかった。

 入院前には、もっと先まで読んでいた。確か、ツアーから3年ほど遠のき、復帰してきたところまでだった。ツアー参加をやめた理由というのが、ランニング中の自分のわきを通り過ぎた登校中の子供たちがトラックにはねられたのは自分の行動に責任があったと深く傷ついたからだった。漫画とはいえ、なんという生真面目さ、不器用さ―。あの続きをさらに読むべきか、どうしょう。

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