4 評論 時代を考える

大杉潤『定年後不安』

3つのKへの心構え ブログを母艦に

 (角川新書、2018年4月)

 あまたある”定年指南書”のひとつだが、内容はしっかりしている。楠木新『定年後』とあわせて読むと、力がわいてくる。サブタイトル「人生100年時代の生き方」もひかれた理由だ。

 まえがきから、小見出しに「定年後の3大不安はカネ、孤独、健康」とある。なるほど。これって頭文字からすると、老後の3Kである。

 人生設計を3段階に区切っている。60歳まで、75-80歳まで、100歳まで。それを前提に「40-50代に戦略的に準備しろ」と説く。ぼくはいま66歳。もう遅いけれど、あとの2区分に備えて参考になる。

  • 第2の人生は「好きなことを」を仕事にせよ
  • 自分の強みを専門性に変えろ
  • 第3の人生は、好きな時間に、好きな場所で、好きな仲間と働け

 ぼくの人生に上を当てはめてみると、第2の人生は「新聞社の不動産担当」だから、大学での建築専攻という強みを専門性に変えた、といえようか。第3の人生はこれから。好きな時間や場所は明確だけど、もう働きたくないなあ。

 ■毎日1本、書き続けよ

 4章の「情報リテラテシー」も参考になった。ブログを「人生の母艦」とすることを強く勧めている。その運営の仕方も「無料ブログサービスではなくて、独自ドメインを取得したうえで、自分でサーバーをレンタルするワードプレスなどを活用して立ち上げること」(P187)と明快だ。

 自らもブログを5年近く続けてきたからこそ書けるのだろう。毎日1本の記事を「書き続ける」ことの大事さは、肝に銘じないといけない。幸いぼくの第1の人生は記者だったから、インプットして書くことには何の抵抗もない。

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