5 映画 銀幕に酔う

邦画版『最高の人生の見つけ方』

もはや他人事ではない いつから実行するかだ

 (犬童一心監督、公開2019年10月、DVD)

  米日2作を続けて観たぞ

 ジャックニコルソン×モーガンフリーマンの米国版を観たのは2007年だった。その伝説の名作の日本リメーク版が吉永小百合×天海祐希で作られ、昨年公開になったときは劇場で観るタイミングを逸した。日本版もDVDレンタルになったのを機に、先に米国版を見直してから、日本版を観た。

  米国版のふたりの演技は地? 

 見比べてあらためて思うのは、米国版がいかにうまく作られていたかということだった。着想もストーリーも脚本もせりふもオリジナリティにあふれ、飛び跳ねてはいるが、かといって隙や破綻はみじんもない。
 なんといってもふたりの名優の演技がすばらしい。女好きで荒っぽい生き方の大富豪と、歴史家を目指しながらかなわなかった愛妻家の黒人修理工。ふたりはその役をほとんど地のまま演じているように感じさせる。役への入り込み方が半端ではない。前半の無駄に思えるおしゃべりが後半の「BUCKET LIST」の実現につながり、劇的な効果をあげるところもいかにもハリウッド的だ。

 リメークは意外な組み合わせ

 22年ぶりの日本版リメークは、吉永小百合と天海祐希という意外な組み合わせ。ひきこもりの息子を抱える主婦の吉永と、独力で不動産グループのトップになった美人実業家の天海という役どころだ。
 病院で知り合った少女が持っていた夢リストをふたりでかなえていくというところは米国版と少し違う。リストの中身もスカイダイビングは米国版と同じだが、ほかは違ってくる。

 日本的な味付けがいい効果

 米国版と日本版を比べると、吉永も天海もストーリーへの溶け込み感が薄い気がした。大げさな演技になるのは米国版と同じなのだが、日本のふたりには無理に演じているという感じが抜けない。ただアイドルのコンサートに行ってステージに上がってしまうとか、京都のカフェで頼んだどでかいケーキを周囲の若い客におごってしまうところなどは、日本的な味付けでいい効果を出していたと思う。

  余命宣告の前に?

 まあそんな映画評はともかくとして、ぼくも妻もおおいに楽しむことができた。ともに60代後半になっているから、この映画のメッセージはもはや他人事ではないのだ。末期がんや脳腫瘍で「あと6か月」宣告をいつ受けてもおかしくない。ぼくの棺桶リストの候補はすでにいくつかある。問題は「いつから」実行に移すかだろう。

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