2打差を逆転 神様がご褒美
ぼくが所属する東名古屋カントリークラブで、60歳以上が競うシニア選手権の予選が10日、決勝が17日にあり、優勝できた。決勝に残ったのは壮年期からの実力者ばかり。ぼくは71歳の老プレーヤーだし、予選はトップから2打差、4位タイの通過だったから、決勝で「アレ」がくるとは考えてもいなかった。7月の「片手シングル到達」に続き、『晴球雨読』の精進に神様がご褒美をくれたらしい。
シニア選手権は毎年9月に開かれ、60歳以上のメンバーに参加資格がある。西コースのレギュラーティーを使い、総延長は6670ヤード。ハンディを考慮せず、スコアだけで競うストローク戦だ。ことしは46人が10日(日)の予選に挑んだ。
<予選> 前半に貯金 4位タイ 首位に2打差
前半アウトは39だった。ボギーを3つに抑えることができ、3パットもOBもなかった。上出来のスタートだった。
しかし後半インに入ってすぐ、2番パー5を3パットのボギーにした。これはまずいと赤信号が頭に灯ったまま、190ヤードと距離が長い難関ホール、3番パー3を迎えた。ぼくは5番ウッドを選択。しかし腰のひねりも上半身のねじりも足らないままあわてて当てにいき、ボールは左のがけ下へ落ちていった。痛恨のダブルボギーになった。
ただ予選での大きなミスはそれだけだった。前半39の”貯金”が効いて、トータル82は4位タイ、トップと2打差だった。
<決勝> 後半に5連続パー 幸運のOB回避
予選の上位22人が17日の決勝に進み、ぼくは最終組のひとつ前だった。同じ組には過去のシニアチャンピオンがふたりもいた。しかもぼくは直前の13日と14日には、公式試合のPGSミッドシニア中部決勝に出て2日で5発ものOBを打っていた。クラブ競技ならではの緊張を愉しめれば十分、と気楽な気分でスタートした。
前半のアウトは41だった。大きなミスはないけれど、バーディーもない。可もなく不可もなく、だった。グリーンはこの日も「8.0フィート」と遅かったが、振り幅を意識した打ち方がなじんできて、距離感が合い始めたのがわかった。
その距離感が、ヤマ場の後半で生きた。2番から5ホール連続でパーをとれたのだ。さらに幸運もあった。上がりの7番と8番でドライバーが左へフックしたが、球はOB寸前で生きていて、ボギーでしのぐことができた。
自分のスコアを出した後、ホールアウトしたメンバーのスコアを見て、もしかしたらプレーオフもありかなと思った。風呂に入らず先に昼食を食べていたら、最終組の4人がみなスコアを落とし、ぼくが1打差で逆転優勝したことがわかった。
■和合での優勝から4年 神様はいた
ぼくは、名古屋ゴルフ俱楽部和合コースの法人メンバーだった2019年にもシニア選手権で優勝できた。当時はまだ67歳。21人がエントリーした予選はストローク戦だったが、決勝は8人がトーナメント方式でマッチプレーを戦った。
今回、参加者は倍以上の46人もいて、決勝もストローク戦だ。しかもぼくは71歳になっている。70歳以上が戦うグランドシニアの部とかマッチプレーならまだしも、60歳以上の部のストローク戦では勝ち目はない。そう踏んでいた。
なんでもやってみないとわからないものだ。退職後のこの3年、「晴球雨読」の日々を送り、「公式試合で全日本へ」という目標を追いかけてきた。「中部の壁」に跳ね返されながらも、週に2回は練習のためだけにゴルフ場に通い、アプローチやパットの地味な練習を続けてきた。ゴルフの神様が、そんな日々を見てくれていて、7月の「片手シングル到達」に続いてご褒美をくださったに違いない。
表彰式と写真撮影のあと、クラブ側から「ホームページに載せるためのコメントをいただけませんか」と求められて、その場でメモ用紙に短文を書いてお渡しした。
このクラブにお世話になって22年。こんな日が訪れるとは思ってもいませんでした。これからも老ゴルファーにおつきあいください。