電力王と元女優 6年間の「愛の巣」
(名古屋市東区白壁)
大正時代の1920年に建てられた洋館の移築、復元である。これも空港・万博効果のひとつなのだろうか。2月にオープンした。
もともとは、「電力王」の名で有名になっていた福沢桃介が建てた館である。日本の女優第一号とされる旧川上貞と暮らすためだったと展示で知った。
その展示によれば、桃介と貞奴の仲は桃介の大学時代にさかのぼる。しかし桃介は福沢諭吉の娘と結婚し、貞奴は「オッペケペー」の川上音二郎と結婚して米国へ渡り女優となる。音二郎の死後ふたりは再会してこの住宅に6年住んだという。
二人は当時50歳前後だ。著名な企業人と元女優の「愛の巣」とでもいうのだろうか、きっと周囲からは羨望と新奇のまなざしでみられたことだろう。
こんどの改修では前の道も歩道も真新しくなった。車寄せのある玄関や、出窓、壁のつくりも修復された。当時はさぞモダンに見えただろう。
地元ゆかりの作家のコーナーもあり、城山三郎の書斎が面白かった。