キーワードおさえ 負の側面に焦点
(光文社、2005年2月)
曲折を経てきた愛知万博についての負の側面の特集である。その通りと同感する箇所や知らなかった点も多いが、決めつけが過ぎると感じる指摘も多々ある。

どんな事柄でも明と暗の側面があるけれど、ネガティブや反対という目線でまとめるとこうなるのだろう。
筆者が失敗するだろうとみる理由はいくつも述べられているが、ぼくは「観るべき内容がない」に尽きると思った。「目玉」「キラーコンテンツ」という表現を用い、大阪万博における「月の石」のような展示がないと指摘している。
どうしても見たいものがない点はぼくも賛同する。ただ、筆者の問題意識を当時の大阪万博にあてはめたら「成功」だったといえるのだろうか。
本の内容はしっかりしている。新定住、オオタカ、海上の森、リニモ、弁当、マンモス、トヨタ、堺屋太一など、愛知万博を語るうえで欠かせないキーワードもしっかり入っている。かなり読まれる本になりそうだ。