4 評論 時代を考える

藻谷浩介『デフレの正体』

骨組みが明解 対応策にも説得力

(角川ONEテーマ21、2010年6月)

 いままでに読んだ経済本の中で、もっともインパクトを感じた論評のひとつである。

 多くのまじめな官僚や企業人に、生産人口の減少が及ぼしている影響について、改めて真剣に考えるいい刺激になっているに違いない。

 何よりも、筆者が伝えたいことが明快でデータもしっかりしている。

  • 生産年齢人口(現役世代、15-64歳)の増減が経済を動かしてきた
  • 団塊世代の高齢化とともに減っていることがデフレの正体だ
  • 生産性向上とか外国人労働者増では太刀打ちできない

 もうひとつ、具体的な政策を提示していることも大きく評価したい。

  • 高齢富裕層から若者への所得移転 →企業は若い社員の給与を増やす/政府は生前贈与促進策を
  • 女性の就業者を増やす→日本に残されたロケットの3段目に点火する/1段目だった団塊世代がそれを助ける
  • 外国人観光客の増加→観光客は極めて高い付加価値を生む(外国人定住者の増加は社会インフラ充実の必要性も伴う)
  • 日本製品の高級ブランド化→フランスやイタリアのトップブランドの水準に

 これらの指摘を日本の新聞にあてはめるとどうなるか。部数や広告の減少がより悪化するのは間違いない。景気が回復すればとか、ネットに飽きがくればといった願望は神頼みにすぎない。では対応策はどんなことか。

  • ブランド力を高めて価格を上げる
  • 収益の源を増やす→不動産収益、文化・デザインで勝負できる世界の構築

 打てる手は限られている。じっとしている余裕もない。

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