5 映画 銀幕に酔う

米映画『ライフ・オブ・パイ』

奇想天外の冒険ファンタジー 多彩な宗教観

 (アン・リー監督、2013年1月、DVD)

 すごい。先月に観た『ゼロ・グラビティ』と並ぶ奇想天外さ。ベストセラー小説の映画化だが、特撮のうまさにも脱帽である。絵もきれい。映画館の大画面ならもっと衝撃を受けただろう。

 主人公の少年パイの生い立ちが最初に出てくる。インド人らしい天才ぶりを十分に織り込み、宗教もヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教と多彩。日本人の仏教徒も登場する。最初に交わした仏教論議が後半のトラとの格闘や漂流生活を耐え忍ぶ力とどう関係するのかはぼくにはわからなかった。

 最後に「トラとの227日の漂流」とは違うストーリーも出てくる。あれはどう考えればいいのだろう。あまりにむごい体験をトラ物語に変えたと解釈していいのか。余韻を残して作品に深みを与えているのは確かな気がする。

 アン・リ―監督は台湾の人。前に観た作品は、第二次大戦末期の上海が舞台の『ラストコーション』(2008年)だった。今度はインド、フランス、カナダ、日本など多くの国や複数の宗教がからむ冒険ファンタジーである。映画の世界は人脈面でもものすごい国際化が進んでいるらしい。

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