痛恨ミス連発 「全国」は遠い
(9月28-29日、富山・小杉カントリークラブ)
65歳以上のアマが競う全日本ミッドシニア・アマチュアゴルファーズ選手権(PGS日本パブリックゴルフ協会主催)の中部決勝が9月下旬に富山県の小杉カントリークラブで開かれた。予選通過の124人が出場し、ぼくはミスを連発して101位タイに終わった。全日本に進出できるスコアより2ラウンドで11打も多かった。目標の「全国」はまだまだ遠い。
■全長6303ヤード 11.0ftの大グリーン
コースの全長は6303ヤードに設定された。パー4だと平均は370ヤード。ぼくのドライバーはまずまずの当たりでも飛距離200ヤード強だから、第2打地点からグリーンエッジまで150ヤード前後が残った。
グリーンの速さは1日目が10.9ft、2日目が11.0ftだった。9月上旬にCGAミッドシニア決勝があった呉羽CCは11.0ftと11.5ft。ぼくの感覚でも、小杉もかなり速いけれど呉羽ほどではなかった。ボールも止まりやすく感じた。
しかし小杉のグリーンはふたまわりほど大きかった。だから寄せもパットも距離が長くなった。面が大きいからか傾斜がゆるく見えてしまうこともあった。
予選は8-9月に中部6会場で開かれ、ぼくは9月7日、岐阜県の「井深の森カントリークラブ」で参加し6オーバー78の5位で通過できていた。しかし予選の距離は6182ヤードと短く、グリーンも「コーライの8.0ft」。決勝の舞台はまったく別物だった。
■2日とも「86」 101位に沈む
2日とも「北」→「南」と回り、天気は「晴れ時々曇り、微風」のゴルフ日和にめぐまれた。けれどぼくは肝心なところで痛恨のミスを連発する。リズムをつかめた時には2日間が終わっていた。
●決勝1日目 後半の後半に大崩れ
後半の南5番と7番の3パットがつまづきの始まりだった。取り返そうとした8番ではトリプルボギーまで演じてしまう(このホールの分析は下記の「■南8番Par5」に)。
●決勝2日目 力んで「あるある」失敗
1日目のミスを挽回しようと前半に力みが出て、5番と6番でOBを打って自滅した。9番ではグリーン手前にある名物の池に入れてしまった。これまでの失敗の「あるある」再現だった。後半9ホールは、ボギーの次はパーでしのぐ「オレ流バウンスバック」ができたけど、時すでに遅しだった。
■南8番Par5 技も心も 未熟を痛感
いま冷静にふりかえると「自滅への転落点はあそこだったのか」と蘇るシーンがある。後半の南8番、Par5。521ヤードと長くてアップヒルの難ホールだった。
●実力者がロスト 打ち直しで引き返し
オナーはそこまで1オーバーと素晴らしいプレーを続けていたYさん。ティーショットは200ヤード先にあるフェアウェイ左サイドのバンカーを越えていった。球はバンカーむこうのラフに残っていると判断されたのだろう、暫定球は打たなかった。
ぼくは直前が3パットのダボだったため、力んで切り返しが早かった。ボールはひっかけ気味に出てOBも覚悟したが、左サイドバンカーに入っていくのが見えた。
そのバンカーにくると、ぼくの球はアゴ寄りにあった。しかしYさんのボールがない。みなで手分けして探しても見つからない。Yさんはしばし沈黙のあとティーショットを打ち直すためフェアウェイを引き返していった。8番ティにはすでに次の組の4人がきていて、何があったのかとYさんを眺めている。
ぼくもクラブ競技で何度か経験したけれど、自分のボールが見つからずに引き返す時ほど、つらくて情けない時間はない。けれどYさんは、足取りを早めることもなく、驚くほど悠然とした様子で歩を進め、200ヤード後方のティーグランドへ戻っていった。
●「OBバーディー」vs「OBなしトリプル」
ぼくはYさんの背中をしばらく見つめた後、気持ちを切り替えバンカー脱出のための第2打を打った。6番アイアンを短く持ち150ヤードほど飛ばそうとしたものの、派手にダフってボールは30ヤード先のラフに沈んだ。
Yさんが打ち直したティーショットはフェアウェイのど真ん中へ飛んできた。すげえなああの落ち着きとこのリカバリー、と感心しながら、ぼくがラフから放った第3打も芯には当たらず再度ラフへ。結局は5オンになり、しかもピンの斜め上、いやな3mが残った。
YさんはOBも含めて5打目にピン下4mにオンさせていた。さらにそれをジャストタッチの1発で決めてOBバーディーのボギーとした。すごい、とてもかなわない、とぼくは感心しながら自分のボールに向かい、結局は3パットのトリプルボギーにしてしまった。
Yさんこの日は2オーバーで5位だった。2日目も1オーバーにまとめトップタイでフィニッシュし、ぼくより25打も少なかった。南8番でのぼくとの2打差は、2日で25打という力量差の象徴だったと思う。
■全国へは「ハーフ40」
全日本出場のラインは2日間トータルで161だった。先のCGAミッドシニアでも全日本出場ラインは同じだった。ハーフ40のペースだ。
ぼくの力ではバーディーは計算できない。「神様からの贈り物」だから。でもダブルボギーは避けて通れないので、ハーフにひとつは計算しておきなきゃならない。
となると「ダボひとつは覚悟のハーフ40」を2日間、あわせて4回維持できる安定性を持つことが「全国」への近道になるだろう。
今回の2日目後半は4ボギーの40だった。すでに重圧はなく、11ftの大きなグリーンにも慣れてきていた。それを1日目の朝からできて、本当の重圧がかかる2日目後半でも「40」でおさめるには、すべきことは山ほどある。
(付録) 小杉カントリークラブの素晴らしさ
・行き届いた整備「パブリックと思えない」
今回の舞台の小杉カントリークラブは富山県でただひとつの「パブリックコース」である。しかし「とてもパブリックとは思えない」という驚きの声を選手から何度も聞いた。具体的には―
- ハウス前にふたつの池とグリーンが美しくゆったりと配置されている
- 練習グリーンやアプローチ練習場も広くてゆとりがある
- ドライビングレンジではプロのように芝生から打たせてくれた
- どのグリーンも芝生の状態がよく速さも安定して11ftは出ていた
- どのホールもOBライン内側はラフまで切りそろえて整備されている
- クラブハウスもお洒落で清潔、水回り設備もしっかりしている
- 2018年には日本女子プロゴルフ選手権を開催。パブリックで初のメジャー大会だった
・運営会社の代表は川田太三氏
こうした品質や名門感は会員制コースでしか味わったことがなかった。ただ会員制コースでは、メンバーになる前に会員権料や名義変更料を払う必要がある。ビジターは会員の紹介がないと予約できないとか、会員が同伴しないとプレーできないところも多い。
パブリックコースはだれでも予約できる。会員になって年会費を払えばプレー代は安くなるが、入会前に高額の会員権料や名変料を払う必要はない。そのぶん不特定多数のプレーヤーが増えてコースやグリーンが荒れていたり、料金も割安に設定されたり、ハウス設備が古いままだったりするところが多い。
ところが小杉CCはぼくのその常識を打ち砕いた。もしぼくがまだ会員制クラブに入っておらず、このコースが家の近くにあるなら選択を迷わないだろう。
wikipediaによれば、小杉CCは1900年に開場している。計画はバブル期だったろう。経営会社が何度か変わり2004年からパブリックになった。運営会社の代表はゴルフ評論家の川田太三氏。中日クラウンズのTV解説でも著名になった人だ。理想のゴルフ像を語れる「重鎮」の存在が「ブリックとは思えない」コースになっている理由のひとつかもしれない。