1 ゴルフ 白球と戯れる

「誤所からのパット」で2打罰 またミスで自滅…PGSグランド予選

意図せぬ移動は無罰 現ルール知らず

 (2025年3月27日、ウッドフレンズ森林公園GC)

 ことしも最初の公式戦は情けなさと悔いが残る結果になった。日本パブリックゴルフ協会(PGS)が主催し70歳以上が競う「全日本グランドシニア・アマチュアゴルファーズ選手権」。予選のひとつが3月27日、名古屋市の森林公園GCであり、ぼくは22位に終わり、3年続けて僅差で中部大会に進めなかった。ゴルフの神様が何度かほほ笑んだのに、愚かなミスを3つも重ね、みずから運を手放してしまった。

 <▲写真① スタート前のパット練習場>

■「84」に6人 「22位の補欠」

 この日のぼくのスコアは「アウト43、イン41、トータル84」だった。PGSがHPに掲載した成績表のうち、16位から23位は写真②の通り。「84」はぼくを含めて6人いて、マッチング集計により、インのスコアが良い選手が上位にきている。

 <写真② 成績表の16位から23位>

 ぼくは「19位タイの4番目(22位)」。この予選には70歳以上の72人がエントリーし、上位21人が中部大会に進めることになっていた。「補欠1」は、上位のだれかが中部大会を辞退したら最初に出場権があるという意味だ。

■ミスその1 グリーン上の球移動処置

 <▲写真③ IN6番で2打罰=GDOマイページ>

 この日はINスタートだった。最初の手痛いミスは5番PAR3のグリーン上だった。3.5mほどのパーパットが残っていた。アドレスし、ルーティンのファワードプレスをしたとき、動きが大きすぎてフェイス上部がボールにわずかに触れ、ボールは2~3cmほど転がった。

<▲この状態からシャフトをわずかに左へ動かすのがフォワードプレス。バックスイングにスムーズに入るためのルーティンだ>

 ぼくはこころの中で「やってしまった」と血が上るのを意識しながら、近くの同伴者に「これも1打ですよね」と小声と上目で伝えながら、そのままパットしたが、わずかに外れた。ぼくの頭では「2オン3パットのダブルボギー」だった。

 次のホールへカートで移動するとき、スコア申告と経過を同伴3人に話すと、一人からこんな声が出た。「この前のルール改正で、グリーン上では、意図せぬ形ならボールが動いても、もとの位置に戻せば無罰になったはず。戻さずにパットしたら”誤所からのプレーの2打罰”かも。後で競技委員に確認されたらいいと思う」

 前半を終えたところでゴルフ場のスタッフから競技委員に確認してもらうと、指摘の通りだった。動く原因のフォワードプレスは無罰だったが、ボールをもとに戻さずにパットしたのなら、「誤所からのプレー」として2打罰になるとの説明を受けた。「2オン2パットに2打罰」のトリプルボギーだった。

 この前の4番par5で、40ヤードのアプローチがうまくいき、2mのパットも沈めてバーディーがとれていた。あの時点では、ゴルフの神様は満面の笑みを見せていたのに…。

球が動いても偶然なら無罰

 自宅に戻り、日本ゴルフ協会のHPで現在の規則を確認すると、条文「13.1d」にたどりついた(写真④)。フォワードプレスは「例外—バックスイングやストローク」ではないとの解釈だろう。

<▲写真④ 日本ゴルフ協会HP「規則書」P112>

  ゴルフ規則は2019年に大幅に改正された。改正前は「グリーン上の球の移動は1打罰」だったものの、「打ち直しはもとの場所にリプレースして」だったとの解説もネットで見つけた。ぼくのミスの根本は次の3点だった。

 ①パターが触ってボールを動かしてしまったら1打罰というのが頭に残っていて、現ルールでは、ファワードプレスなどの準備動作で意図せずボールが移動しても無罰であることを知らなかった。
 ②さらに、打ち直すには、旧ルールでも、もとの位置にリプレースしなければならないことも知らなかった。
 ②きのうのプレー中に判断に迷っていたら、もとの位置と、動いた後の場所からふたつのパットをしておき、スコア提出前に競技委員に裁定をあおぐこともできたのに、その手段も思いつかなかった。

 ぼくのゴルフ歴は40年に及ぶ。年間50ラウンド以上を30年近くも続けてきた。2019年の大幅改正で「2度打ちは無罰に」「パットの際はピンを抜いていい」「ドロップはひざの高さに」などの変更は理解していたのに…。恥ずかしくてたまらない。

■ミスその2「ウェッジ忘れ」

 2番目の手痛いミスは7番PAR4で”発覚”した。第2打がバンカーに入ったのを見て、カートにウェッジを取りに戻ったら、ない。6番のグリーンわきに置き忘れたことに気づいた。この試合は、キャディなしのカート運行だった。

 その6番では、グリーンで自分のパット順を待っていたとき、近くのカートにカラスがやってきてぼくの手提げバッグを漁っているのに気づき、小走りでカートに戻りバッグを取ってきた。しかも短いパーパットを外してしまい、かっかしながらカートに戻るさいに、バッグは持ったけれどウェッジ3本(48度、52度、56度)を忘れてしまった。

 <▲写真⑤ OUTは7、9番でタボ=GDOマイページから>

 7番のコース途中からすぐ無線でクラブハウスに連絡したが、もちろん、次のバンカーショットには間に合わない。そこで42度のPWを思い切り開いて振り、なんとか脱出できたが、ボールはグリーンの向こう端まで転がった。動揺を抑えられず、10mを3パットしてダブルボギーにした。

■ミスその3「バンカー越え寄せダフリ」

 手痛いミスの3番目は、最終の9番par4だった。第2打は深いバンカーの1m手前に止まっていた。ピンはバンカーを越えた先に切ってあり距離は25ヤード。ライは左足上がりのうえに芝が薄く、バンカーのアゴは高かった。このショットは難しいと「警戒」する自分がいた。

<▲写真⑥ 久しぶりの速さだった>

 8番をなんとかパーでしのぐことができていたので、INのスコアはその時点で5オーバーだった。この9番が3オン2パットのボギーならトータル83で合格圏にとどまれるだろう、と「計算」する自分もいた。

 しかし56度ウェッジのアプローチショットは、ヘッドが手前に入ってダフり、ボールは手前のバンカーによろよろと入ってしまった。「警戒」と「計算」が体を硬くさせ、ヘッドアップを呼んだ。そのホールも結局、ダブルボギーにしてプレーを終えた。

■3年連続の予選落ち 書いて「明日」へ

 これでPGSのグランドシニアの大会は、2023年3月(名古屋港ゴルフ倶楽部)2024年3月(井深の森カントリークラブ)に続いて3年続けて予選落ちになった。同じPGS主催でも、65歳以上のミッドシニアとか、中部ゴルフ連盟の公式試合では、あわせて9度、中部大会までは進むことができていた。よほど相性が悪いのか、春先の気負い過ぎか—。

 みじめな体験記を、わざわざ書いて公開するかどうか、ひと晩、ぐずぐず考え続けた。でも、あの情けなさは書いて整理するしか封じ込められない――。次の練習や試合に挑む意欲も湧いてこない――。ぼくは書いてなんぼの「『ブ』ロゴルファー」じゃないか——。昨日の情けなささと苦さをあえて呼び戻しながら、なんとかまとめた。

 書き終えたいま、昨日のプレーの嫌な思いの半分は、記憶の引き出しにしまいこむことができた気がしている。そのぶんだけ「自分のゴルフの次」を考える空間が頭の中にできた、とも感じている。