5 映画 銀幕に酔う

邦画『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』

自分勝手と惰性 青春の日々の頼りなさ

 (松岡錠司監督、2007年4月公開)

 大ヒットした原作の小説は娘が買って読んでいたが、ぼくは興味が沸かなかった。作者のリリー・フランキーは、フランキー堺の息子と勘違いしていたくらいだ。

(▲本棚の原作)

 映画は随分、想像と違った。なんといってもオダギリ・ジョー。純情さと自分のダメなところに流されてしまうひ弱さを、肩の張らない演技なのに深みをつけている。はまり役というのだろう。

 自分勝手で、惰性に流されてしまう青春の日々の頼りなさを、ぼくも「そうだった、そうだった」と思い返していた。人気の最大の秘密はこのあたりではないだろうか。

 樹木希林と娘の内田也哉子の存在感も際立っている。

 それにしてもなぜ題名が東京タワーなのだろう。こちらも大ヒットし、ぼくも昨年、DVDで観た『ALWAYS 3丁目の夕日』は、設定がすぐ近くでそのものずばりだったのに、タイトルには入っていない。

 こっちの「オカン」は、東京に出てきたボクが東京タワーの近くに住むわけではない。でも、オカンが入院した病室からは見えた。日本の1960年代とか昭和30年代の東京の「象徴」も兼ねているのかな。原作を読めばすぐにわかるだろうけど―。

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